腐女子が二次創作について語るブログ

二次創作に関する愚痴とかお悩み相談とか小説の書き方のついて書いています。

二次創作と嫉妬


先日、ある素晴らしい小説と出会って深く感銘を受けた。
その小説は私をとてもワクワクさせてくれた。読んでいる間はとても楽しく幸せな時間だった。
だが、読み終わってしばらくするとどっぷりと気持ちが落ち込んだ。

私は腐女子である。
好きな作品の二次創作小説を書いている。
前述で読んだ小説というのも二次創作の小説のことだ。つまり、腐女子である私は推しカプの小説を見つけて読んだ。素晴らしかった。それなのに今とてつもなく落ち込んでいるのである。
自分がいわゆる読み専ならこんなことにはならないはずだ。

私はメンタルが弱く自己肯定感が低く承認欲求が強い。
そして、負けず嫌いである。
これまで様々なジャンルを渡り歩いてきたが、だいたいどこに行っても自分より文章の上手い字書きが存在していた。
そういう人の優れた作品を目にするたびに、自分には敵わないと思い知らされ、ひどく落ち込んだ。
私は文章を読む目は肥えている方だと思っている。
だから自分の文章が上手くはないのもわかっている。
わかっているからといって、直せるわけではないのがつらい。
下手なのも、どこがまずいのかもわかるのに、どうすればよくなるかがわからない。
とにかく上手い文章を大量にインプットすればいいのではないかと考え図書館に通う日々だ。
もちろんアウトプットもしている。
某オタク向けSNSで何本も作品を公開している。
ありがたいことに、読んでくれる人はそこそこいるし、感想をくれる人もいる。
だが、しょせん二次創作。その人達は私が題材にしている推しカプを好きなだけで、私の文章や作風が好きなわけではない。違うジャンルやオリジナル作品を書いても彼らは読んではくれないのだ。だがこれは二次創作なら当然のことで、しかたがないと誰もが納得していることだと思う。
それでも、同じCPを好きな人たちが自分の作品を読んで共感してくれるのはとてもうれしい。
そもそも二次創作は絵ならファンアートとも言い、同じ原作を好きなファン同士が見せ合い共感し合う目的で描かれるものだと思う。
小説でも同じだ。自分の才能や技術を評価してもらうための手段ではない。
だが、褒められるのはうれしい。一度味わえば癖になる。もっともっと褒めてもらいたくなる。感想も評価の数も、多ければ多いほどうれしい。
感想や評価をもらえると自己肯定感がぐんと上がり、自分に自信が持てた。仕事や私生活では何のとりえもない自分にとって、二次創作で評価を得ることがもはや生き甲斐と言っても過言ではなくなっていた。

そんな私にとって、同CPで自分より上手い小説を書く人は恐ろしい敵に見えるのだ。ライバルなんて生易しいものじゃない。自分の大切な居場所を奪うかもしれない敵だ。しかも力の差は歴然としている。
前述もしたが私はそこまで小説が上手くはない。ただ、質より量だったりアイデア勝負な部分が受けることもあるのと、元々書き手が少ないジャンルでばかり書いているから、そこそこ評価してもらえるのだ。需要に対して供給が少ないから、受け入れてもらえている。あえてそういうジャンルを選んだわけではないが、今までハマったどのジャンルも偶々そうだった。
だがそこに明らかに自分よりレベルが上の書き手が現れたとき、読み手としての私は歓喜するが、同時に書き手の私は死ぬほど気分が落ちてしまう。

前にハマっていたジャンルの同CPにはプロ級の文章力を持つ素晴らしい書き手さんがいた。私は常にその人に力の差を見せつけられつつも、書きたいものを書いていた。だが、次第にその人の日常のツイートすら見るのも嫌になってしまった。その人が実はほぼ初心者だったと知り、気が狂いそうなほど嫉妬したことも理由のひとつだ。
そのジャンルでは同じ趣味を持つ人とほとんど交流が出来なかったし、感想をくれる人もほぼいなくて、私は孤独を感じていた。誰も味方がいないように思えた。
二次創作は趣味であって義務ではない。自分が楽しめるように、好きなように書けばよい。だが、作品を作り上げるにはそれ相応の時間や労力が要る。
そのジャンルでは、どんなに頑張って作品を仕上げても誰も褒めてはくれなかった。閲覧数は興味本位に覗いた人も含まれるし、ほんのわずかなブクマやいいねの数には人の心の温かみが感じられなかった。
見知らぬ誰かからのブクマやいいねは、もちろん無いよりはうれしい。だが熱量が感じられないそれは自分が費やした労力に対して物足りなく感じられた。
もっと褒められている実感がほしかった。それが得られないということは自分にはやはり実力が不足しているのだろう。やはり自分は下手なのだ。そう考えて落ち込む日々を繰り返していた。
同じCPの書き手同士仲良くコミュニケーションが取れないのも、孤独感の原因だったと思う。
腐女子にとって、実は逆CPや地雷CPよりも、同CPで解釈違いというのが一番厄介なのではないだろうか。本来なら同じ嗜好を持つ者同士なのに、考え方が違うせいで理解しあえない。それが仲間の少ない狭い界隈で起こるのだから、逃げ場すらない。
まあ、私は逃げたのだが。
精神的に疲弊しきっているときに、偶々タイミングよく別のジャンルにハマることができたのだ。
新しい沼もやはり狭かった。絵を描く人はそこそこ多いが小説は少なかった。自分が書き始める前に書いていた人達は更新が止まっていた。リアルタイムで書いている書き手がほぼ自分一人だった。
だが需要が少ないマイナーCPというわけじゃない。 需要はあるのに供給しているのが自分一人という状態になった。
作品をアップすると評価はどんどん増えていき、感想もたくさんもらえた。Twitterのフォロワーも増えた。とても楽しく幸せな日々だった。
自分より上の存在がいなかったからだ。
正直、心のどこかでは自分以外の誰かが書いた推しCPの小説を読みたいと思うこともあった。だがこれまでの経験上、作品を楽しむ気持ちより嫉妬心の方が勝ってしまうことはわかりきっていた。それに他人の描いた推しCPはイラストや漫画での供給で充分満足できていたので、小説の書き手は自分一人でいい、そんなふうに思ってしまっていた。

そんな自分の独壇場だった舞台に大型新人が現れてしまったのだ。
新人、といってもこのCPを書くには新参というだけで、他ジャンルでは活動歴が長いようだ。
その人の作品は瞬く間に称賛の的になった。
またしても私は心が折れてしまった。
書き残していたネタを書き終えたら(もしかしたらその前になるかもしれないが)、新たにハマれそうな何かを探そうと思う。
だって二次創作は趣味なのだから。自分が楽しくなければ、やる意味がない。



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