腐女子が二次創作について語るブログ

二次創作に関する愚痴とかお悩み相談とか小説の書き方のついて書いています。

三人称多元視点(神様視点)の書き方



以前のブログで、小説を書くときの視点についてお話させていただいたことがあります。
今回はその続きで、三人称多元視点、通称神様視点についてもう少し掘り下げていきたいと思います。

登場人物が多く、主人公だけでなく様々なキャラの心情を直接語りたい場合、この三人称多元視点で書くことになります。

小説ではなく漫画では、この手法が多いですよね。

たとえば主人公と敵が戦っている場面で、主人公の心の中も、敵の心の中も両方描写されている、ということも多々あります。

では、小説でこれを書こうとする場合、具体的にはどう書いたらよいのかを、これからご説明します。

次の例文は、三人称多元視点で上手く書けていない例です。

『AとBは空いているベンチに腰を下ろした。
「さっきの話の続きなんだけどさ……」
AはBの手をそっと握る。
Bはドキッとした。
Aは何を言うつもりなのだろか。
(まさか……とは思うけど、A、俺のことが好きなのか?)
高鳴る鼓動とともに、Bの顔が赤く染まっていく。
(頑張れ、俺! 勇気を出して告白するんだ!)
緊張のせいでこめかみに汗がにじむ。
震える指で、さらにきつくBの手を握りなおす。
「俺、Bのことが好きなんだ。俺の恋人になってくれないか?」
まるで夢でも見ているような気分だった。』

まず、『高鳴る鼓動とともに、Bの顔が赤く染まっていく。』ここまでは、B視点ですよね。
『高鳴る鼓動』を感じているのはBなのですから、自分の顔が『赤く染まっていく』のが見えているのは変です。
ここは『熱くなっていく』に直すべきです。
そして、次の行からはA視点になっていますが、ここの視点の切り替えがちょっとわかりにくいです。
()内が誰の思っていることなのかがわかりません。
さっきまではBの心情を描いていたので、読者はBが告白しようとしているのかと勘違いしてしまいそうです。
そこで、ここは()の前にA視点だとわかる文を一文入れましょう。
必ず主語にAの名前を入れてください。
次に、『緊張のせいでこめかみに汗がにじむ。
震える指で、さらにきつくBの手を握りなおす。』この部分ですが、誰のことを描写しているのかわかりません。ここにもAの名前を入れましょう。
最後の行『まるで夢でも見ているような気分だった。』も誰がなのかわかりませんよね。ここにも同じく名前を入れるべきです。

全部直すと、下記のようになります。

『AとBは空いているベンチに腰を下ろした。
「さっきの話の続きなんだけどさ……」
AはBの手をそっと握る。
Bはドキッとした。
Aは何を言うつもりなのだろか。
(まさか……とは思うけど、A、俺のことが好きなのか?)
高鳴る鼓動とともに、Bの顔が熱くなっていく。
そんなBをまっすぐに見つめて、Aは自分自身に言い聞かせた。
(頑張れ、俺! 勇気を出して告白するんだ!)
緊張のせいでAのこめかみに汗がにじむ。
彼は震える指で、さらにきつくBの手を握りなおす。
「俺、Bのことが好きなんだ。俺の恋人になってくれないか?」
Bはまるで夢でも見ているような気分だった』

このように、三人称多元視点では、一文一文、常に誰の視点なのかを考えて書かなければいけません。
ただし、同じキャラの視点が長く続く場合は主語を省略しても構いません。あまり名前ばかり出てくると文章がスッキリしませんので。

また、地の文でキャラの心情を語るときに気をつけたいのが、以下のような場合です。

『Aは考えた。BはAのことをどう思っているのだろうか』

これは、アマチュア作家さんの小説でよく見かけるのですが、私としては非常に違和感を覚えます。
後ろの部分は、Aの心の中なんですよね。なのに、自分のことを名前で呼んでいるのはおかしいと思うのです。
ここは『Bは自分のことをどう思っているのだろうか』に変えた方がいいです。

三人称多元視点でも、できる限りは視点をコロコロ変えない方が読みやすいです。
以前のブログで申し上げたように、視点は映画で言うところのカメラワークと同じです。
視点がコロコロ変わってしまうと、読者は今誰の視点なの?と混乱して、疲れてしまいます。
なので、視点を切り替えるなら、一番良いのは章ごとに、できれば場面ごとに、少なくとも段落ごとにした方が読者にとっては親切です。

そして、視点を切り替えるときには必ずその視点の主の名前を書くこと!
これが最も重要です。

直接的な心理描写を一切しない場合は、この限りではありません。

読者には作者の頭の中の映像が見えていません。小説を書くときは常に読者の気持ちを考えて書きましょう。





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